【電験1種】H21 理論 問5 『点電荷の力と誘電体に関する計算問題』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

点電荷がつくる力について,異なる誘電体がある場合にどうなるか考える問題です。

公式さえ覚えていれば問題文に沿って計算するだけでokです。

【難易度 : ★★★☆☆

下記リンクより一般社団法人 電気技術者試験センターが公開している試験問題を見ながらご覧下さい。

試験問題へ

問題解答

(1)解答 : ロ

図2について考えます。

点Pの電位\(V_{p1}\)を求めたいので

点電荷\(Q\),\(Q_1\)がそれぞれ点Pに発生させる電位\(V\),\(V_1\)を求めて足し合わせれば良さそうです。

電位は,電界の強さ\(E\)から求められるので,まずは電界の強さを求めます。

(※ただし,“電位”なのでベクトル量ではなく,スカラー量で計算することに気をつけます。)

点電荷\(Q\),\(Q_1\)がそれぞれ点Pにつくる電界の強さを\(E\),\(E_1\)とおくと

\[\begin{eqnarray}
E &=& \frac{Q}{4\pi\epsilon_1r^2}
\\E_1 &=& \frac{-Q_1}{4\pi\epsilon_1r^2}
\end{eqnarray}\]

続いて電位を求めます。電位は“電界にマイナスをつけて積分”です。覚えましょう(笑)

\[\begin{eqnarray}
V &=& -\int_{\infty}^{r}Edr
\\ &=& -\frac{Q}{4\pi\epsilon_1}\int_{\infty}^{r}\frac{1}{r^2}dr
\\ &=& -\frac{Q}{4\pi\epsilon_1}\biggl[-\frac{1}{r}\biggr]_{\infty}^r
\\ &=& -\frac{Q}{4\pi\epsilon_1}\biggl\{-\frac{1}{r}-\biggl(-\frac{1}{\infty}\biggr)\biggr\}
\\V &=& \frac{Q}{4\pi\epsilon_1r}
\end{eqnarray}\]

\(V_1\)は\(Q\)が\(-Q_1\)に変わるだけなので

\[\begin{eqnarray}
V_1 &=& \frac{-Q_1}{4\pi\epsilon_1r}
\end{eqnarray}\]

あとは足し合わせれば\(V_{p1}\)が求まります。

\[\begin{eqnarray}
V_{p1} &=& V+V_1
\\ &=& \frac{Q}{4\pi\epsilon_1r}+\frac{-Q_1}{4\pi\epsilon_1r}
\\∴V_{p1} &=& \frac{Q-Q_1}{4\pi\epsilon_1r}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ロ)となる。

(2)解答 : ニ

次は点Pにおける電束密度の境界面に垂直な成分\(D_{h1}\)を求めます。

電束密度を求めるためには電界の強さがわかれば良いので,”点Pにおける電界の強さの境界面に垂直な成分\(E_h\)”を求めます。

上図の通り,\(E\)の垂直成分\(Ecos\theta\)と\(E_1\)の垂直成分\(E_1cos\theta\)を足せば\(E_h\)となる。

また,\(cos\theta=\frac{a}{r}\)であるから

\[\begin{eqnarray}
E_h &=& Ecos\theta + E_1cos\theta
\\ &=& \frac{Q}{4\pi\epsilon_1r^2}\frac{a}{r} + \frac{Q_1}{4\pi\epsilon_1r^2}\frac{a}{r}
\\ &=& \frac{Q+Q_1}{4\pi\epsilon_1r^2}\frac{a}{r}
\\E_h &=& \frac{(Q+Q_1)a}{4\pi\epsilon_1r^3}
\end{eqnarray}\]

※\(Q_1\)がプラスになっていますが,電磁気では電荷の符号はベクトルの向きを決めるものと考えた方が良いです。

これより電束密度\(D_{h1}\)は,\(D=\epsilon E\)の関係から

\[\begin{eqnarray}
D_{h1} &=& \epsilon_1E_h
\\ &=& \epsilon_1\frac{(Q+Q_1)a}{4\pi\epsilon_1r^3}
\\∴D_{h1} &=& \frac{(Q+Q_1)a}{4\pi r^3}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ニ)となる。

(3)解答 : ト

次は図3について考えます。

考え方は(1),(2)と同様で,\(E_{h2}\)を求めて\(D_{h2}\)を求めます。

\[\begin{eqnarray}
E_{h2} &=& \frac{Q_2}{4\pi\epsilon_2r^2}cos\theta
\\ &=& \frac{Q_2}{4\pi\epsilon_2r^2}\frac{a}{r}
\\E_{h2} &=& \frac{Q_2a}{4\pi\epsilon_2r^3}
\end{eqnarray}\]
\[\begin{eqnarray}
D_{h2} &=& \epsilon_2E_{h2}
\\ &=& \epsilon_2\frac{Q_2a}{4\pi\epsilon_2r^3}
\\∴D_{h2} &=& \frac{Q_2a}{4\pi r^3}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ト)となる。

(4)解答 : ヨ

問題文にある通り\(D_{h1}=D_{h2}\),\(V_{p1}=V_{p2}\)から\(Q_1,Q_2\)を求める。

\(V_{p2}\)は(1)と同様の手順で求めると

\[\begin{eqnarray}
V_{p2} &=& \frac{Q_2}{4\pi\epsilon_2r}
\end{eqnarray}\]

\(D_{h1}=D_{h2}\)より

\[\begin{eqnarray}
D_{h1} &=& D_{h2}
\\\frac{(Q+Q_1)a}{4\pi r^3} &=& \frac{Q_2a}{4\pi r^3}
\\Q_2 &=& Q+Q_1
\end{eqnarray}\]

\(V_{p1}=V_{p2}\)より

\[\begin{eqnarray}
V_{p1} &=& V_{p2}
\\\frac{Q-Q_1}{4\pi\epsilon_1r} &=& \frac{Q_2}{4\pi\epsilon_2r}
\\\frac{Q-Q_1}{\epsilon_1} &=& \frac{Q_2}{\epsilon_2}
\\\frac{Q-Q_1}{\epsilon_1} &=& \frac{Q+Q_1}{\epsilon_2}
\\\frac{Q_1}{\epsilon_1}+\frac{Q_1}{\epsilon_2} &=& \frac{Q}{\epsilon_1}-\frac{Q}{\epsilon_2}
\\\biggl(\frac{1}{\epsilon_1}+\frac{1}{\epsilon_2}\biggr)Q_1 &=& \biggl(\frac{1}{\epsilon_1}-\frac{1}{\epsilon_2}\biggr)Q
\\\biggl(\frac{\epsilon_1+\epsilon_2}{\epsilon_1\epsilon_2}\biggr)Q_1 &=& \biggl(\frac{\epsilon_2-\epsilon_1}{\epsilon_1\epsilon_2}\biggr)Q
\\∴Q_1 &=& \frac{\epsilon_2-\epsilon_1}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q
\end{eqnarray}\]

先ほど求めた式に代入し

\[\begin{eqnarray}
Q_2 &=& Q+Q_1
\\ &=& Q+\frac{\epsilon_2-\epsilon_1}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q
\\ &=& \frac{\epsilon_1+\epsilon_2}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q+\frac{\epsilon_2-\epsilon_1}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q
\\∴Q_2 &=& \frac{2\epsilon_2}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ヨ)となる。

(5)解答 : リ

図2について点電荷\(+Q\)と\(-Q_1\)との間の力\(F\)の大きさを求めれば良いので,

\[\begin{eqnarray}
F &=& \frac{Q(-Q1)}{4\pi\epsilon_1(2a)^2}
\\ &=& \frac{Q}{4\pi\epsilon_1(2a)^2}\biggl(-\frac{\epsilon_2-\epsilon_1}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q\biggr)
\\ &=& \frac{Q}{16\pi\epsilon_1a^2}\frac{\epsilon_1-\epsilon_2}{\epsilon_1+\epsilon_2}Q
\\∴F &=& \frac{(\epsilon_1-\epsilon_2)Q^2}{16\pi\epsilon_1(\epsilon_1+\epsilon_2)a^2}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(リ)となる。

暗記必須の公式たち

電界の強さ(点電荷)

\[\begin{eqnarray}
E &=& \frac{Q}{4\pi\epsilon_0\epsilon_r r^2}
\end{eqnarray}\]

電圧と電界の強さ

\[\begin{eqnarray}
V &=& -\int_{\infty}^{r}Edr
\end{eqnarray}\]

電束密度と電界の強さ

\[\begin{eqnarray}
D &=& \epsilon E
\end{eqnarray}\]

2つの点電荷間に働く力

\[\begin{eqnarray}
F &=& \frac{Q_1Q_2}{4\pi\epsilon_0\epsilon_r r^2}
\end{eqnarray}\]

類似問題へ

磁界の強さやインダクタンスの計算

覚えておくと良いこと

\(4\pi r^2\)ってなに?

電界の強さの公式に出てくる\(4\pi r^2\)は“球の表面積”です。

そもそも電界の強さとは“電気力線の密度”なのです。

電界の強さ

\(4\pi r^2\)について

電気力線の本数は真空中に電荷\(Q\)[C]がある場合,\(\frac{Q}{\epsilon_0}\)[本]です。

この電気力線の本数を,Qが分布する範囲で割れば電気力線の密度,つまり電界の強さとなるわけです。

円導体の場合は\(2\pi r\),球電荷(球の中にも電荷が詰まっている)の場合は\(\frac{4}{3}\pi r^3\)となります。

このことを覚えておけば多少問題が変わっても対応できるようになります。

誘電体の境界条件

境界条件

電界と電束密度の境界条件

異なる誘電体の境界では下記のことが成り立ちます。

垂直方向 : \(D_1=D_2\)

水平方向 : \(E_1=E_2\)

直接この問題とは関係ありませんが覚えておいて損はないです。

電荷の符号

よく電磁気ではプラスの電荷とマイナスの電荷が出てきますが,これは“ベクトルの向きを決めるもの”と考えた方がスッキリします。

例えば,同符号の電荷がある場合,電荷間には反発力が働き,異符号であれば引力が働くといったように力の向きを考えるために役立ちます。

ベクトルが決まったらあとは(2)のように大きさだけ考えればokです。

筆者の考え

電磁気は覚える公式が多いですが,意外と覚えてしまうと問題自体は簡単です。

与えられている要素と,求めたい要素を見て,どの公式を使えば良いかパッと思い浮かぶようになるまで計算しまくりましょう。

おわりに

解説は以上です。

今回は電磁気の点電荷に関する問題でした。

この類の問題は頻出しますので,完璧にできるようにすることをオススメします。

慣れると問題によっては暗算できるくらいになるのでかなり時間を稼ぐことができます。

もしモヤモヤする点等ございましたらコメントやツイッターにてご連絡いただければお答えしますのでご遠慮なくどうぞ。

それでは。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Twitter : @madaidayo2

instagram : madaidayo_a.s

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

メニュー