【電験1種】H21 理論 問2 『三相交流回路の計算問題』

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h21理論q2

不平衡三相負荷について計算していく問題です。

頭の整理力と計算の丁寧さが問われます。

【難易度 : ★★★★☆

下記リンクより一般社団法人 電気技術者試験センターが公開している試験問題を見ながらご覧下さい。

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問題解答

(1)解答 : ホ

題意より電源は平衡三相電圧だが,負荷はそれぞれ値が異なるため不平衡三相負荷であることに注意する。

まずは負荷をΔ-Y変換したくなりますが,このまま計算します。(※理由は「筆者の考え」にて説明)

図1の通り,\(\dot{I_{ab}}\)と\(\dot{I_{bc}}\)を求めれば
キルヒホッフの法則で\(\dot{I_b}\)が求まることがわかります。

図1 b点における電流

図1 b点における電流

これより\(\dot{I_{ab}}\)は

\[\begin{eqnarray} \dot{I_{ab}} &=& \frac{\dot{E_{ab}}}{\dot{Z_{ab}}}
\\&=& \frac{220}{66+j54}
\\&=& \frac{220(66-j54)}{(66+j54)(66-j54)}
\\&=& \frac{14520-j11880}{66^2+54^2}
\\∴\dot{I_{ab}}&=& \frac{605}{303}-j\frac{165}{101}[A]
\end{eqnarray}\]

また,\(\dot{I_{bc}}\)も同様にして

\[\begin{eqnarray} \dot{I_{bc}} &=& \frac{\dot{E_{bc}}}{\dot{Z_{bc}}}
\\&=& \frac{\dot{a^2E_{ab}}}{\dot{Z_{bc}}}  (∵ a:ベクトルオペレータ)
\\&=& \frac{220\bigl(-\frac{1}{2} -j\frac{\sqrt{3}}{2}\bigr)}{66+j54}
\\&=& \frac{(-110-j110\sqrt{3})(66-j54)}{(66+j54)(66-j54)}
\\∴\dot{I_{bc}}&≒& -2.413-j0.912[A]
\end{eqnarray}\]

これより\(\dot{I_b}\)の実行値\(I_b\)は

\[\begin{eqnarray} \dot{I_{b}} &=& \dot{I_{bc}}-\dot{I_{ab}}
\\&=& -2.413-j0.912-\biggl(\frac{605}{303}-j\frac{165}{101}\biggr)
\\&≒& -4.4098+j0.7213
\\I_b&=& \sqrt{4.4098^2+0.7213^2}
\\∴I_{b}&≒& 4.47[A]
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ホ)となる。

(2)解答 : リ

(1)にて相電流を途中まで求めているのでこれを利用し,各相ごとに\(P=RI^2\)を求め,3つ足し合わせて三相電力を求める。(※Iは実効値,RはZの抵抗分(実数分)であることに注意)

\(\dot{I_{ab}}\)の実行値\({I_{ab}}\)は

\[\begin{eqnarray} \dot{I_{ab}}&=& \frac{605}{303}-j\frac{165}{101}
\\I_{ab}&=& \sqrt{\biggl(\frac{605}{303}\biggr)^2+\biggl(\frac{165}{101}\biggr)^2}
\\∴I_{ab}&≒& 2.580[A]
\end{eqnarray}\]

\(\dot{I_{bc}}\)の実行値\({I_{bc}}\)は

\[\begin{eqnarray} \dot{I_{bc}}&=& -2.413-j0.912
\\I_{bc}&=& \sqrt{(-2.413)^2+(0.912)^2}
\\∴I_{bc}&≒& 2.580[A]
\end{eqnarray}\]

また,\(\dot{I_{ca}}\)は

\[\begin{eqnarray} \dot{I_{ca}} &=& \frac{\dot{E_{ca}}}{\dot{Z_{ca}}}
\\&=& \frac{\dot{aE_{ab}}}{\dot{Z_{ca}}}
\\&=& \frac{220\bigl(-\frac{1}{2} +j\frac{\sqrt{3}}{2}\bigr)}{106+j50}
\\&=& \frac{(-110+j110\sqrt{3})(106-j50)}{(106+j50)(106-j50)}
\\\dot{I_{ca}}&≒& -0.1553+j1.8707
\\I_{ca}&≒& \sqrt{(-0.1553)^2+(1.8707)^2}
\\∴I_{ca}&≒& 1.877[A]
\end{eqnarray}\]

したがって三相電力Pは,各相電力を\(P_{ab}\),\(P_{bc}\),\(P_{ca}\),各インピーダンスの抵抗分を\(R_{ab}\),\(R_{bc}\),\(R_{ca}\)とおくと
\[\begin{eqnarray} P &=& P_{ab}+P_{bc}+P_{ca}
\\&=& R_{ab}{I_{ab}}^2+R_{bc}{I_{bc}}^2+R_{ca}{I_{ca}}^2
\\&=& 66×2.580^2+66×2.580^2+106×1.877^2
\\∴P&≒& 1.25[kW]
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(リ)となる。

(3)解答 : チ

ここからΔ-Y変換が必要となる。

変換後の各相インピーダンスを\(\dot{Z_a}\),\(\dot{Z_b}\),\(\dot{Z_c}\)とおくと

Δ-Y変換公式より

\[\begin{eqnarray} \dot{Z_{a}} &=& \frac{\dot{Z_{ca}}\dot{Z_{ab}}}{\dot{Z_{ab}}+\dot{Z_{bc}}+\dot{Z_{ca}}}
\\&=& \frac{(66+j54)(106+j50)}{(66+j54)+(66+j54)+(106+j50)}
\\&=& \frac{4296+j9024}{238+j158}
\\&=& \frac{(4296+j9024)(238-j158)}{(238+j158)(238-j158)}
\\&=& \frac{2448240+j1468944}{81608}
\\∴\dot{Z_{a}}&=& 30+j18[Ω]
\end{eqnarray}\]

\[\begin{eqnarray} \dot{Z_{b}} &=& \frac{\dot{Z_{ab}}\dot{Z_{bc}}}{\dot{Z_{ab}}+\dot{Z_{bc}}+\dot{Z_{ca}}}
\\&=& \frac{(66+j54)(66+j54)}{(66+j54)+(66+j54)+(106+j50)}
\\&=& \frac{1468944+j1468944}{81608}
\\∴\dot{Z_{b}}&=& 18+j18[Ω]
\end{eqnarray}\]

\[\begin{eqnarray} \dot{Z_{c}} &=& \frac{\dot{Z_{bc}}\dot{Z_{ca}}}{\dot{Z_{ab}}+\dot{Z_{bc}}+\dot{Z_{ca}}}
\\&=& \frac{(66+j54)(106+j50)}{(66+j54)+(66+j54)+(106+j50)}
\\∴\dot{Z_{c}}&=& 30+j18[Ω]
\end{eqnarray}\]

\(\dot{Z_a}\),\(\dot{Z_b}\),\(\dot{Z_c}\)を比較すると,\(\dot{Z_b}\)の実数分が12足りないので,可変抵抗の調整値\(R=12[Ω]\)とすれば良い。

したがって解答は(チ)となる。

(4)解答 : ハ

b相に流れる電流\(I_b\)は相電圧1相分インピーダンスで割れば算出できる。
(※電流の実行値を求めたいので,電圧もインピーダンスも実行値を使いましょう。)

\[\begin{eqnarray} I_{b} &=& \frac{\frac{220}{\sqrt{3}}}{\sqrt{30^2+18^2}}
\\∴I_{b}&≒& 3.63[A]
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ハ)となる。

(5)解答 : ル

(4)で求めた電流と(3)で求めた各相インピーダンスの抵抗分を用いて総電力Pを求める。
(※(2)と同様の考え方です。)
今回の場合,負荷も三相平衡になったので,1相分電力×3で総電力となります。

\[\begin{eqnarray} P &=& 30×3.63^2×3
\\∴P&≒& 1.19[kW]
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ル)となる。

暗記必須の公式たち

インピーダンスのΔ-Y変換

\[\begin{eqnarray}
\dot{Z_{a}} &=& \frac{\dot{Z_{ca}}\dot{Z_{ab}}}{\dot{Z_{ab}}+\dot{Z_{bc}}+\dot{Z_{ca}}}
\\\dot{Z_{b}} &=& \frac{\dot{Z_{ab}}\dot{Z_{bc}}}{\dot{Z_{ab}}+\dot{Z_{bc}}+\dot{Z_{ca}}},
\\\dot{Z_{c}} &=& \frac{\dot{Z_{bc}}\dot{Z_{ca}}}{\dot{Z_{ab}}+\dot{Z_{bc}}+\dot{Z_{ca}}}
\end{eqnarray}\]

インピーダンスのY-Δ変換

ついでに一緒覚えておきましょう。

\[\begin{eqnarray}
\dot{Z_{ab}} &=& \frac{\dot{Z_a}\dot{Z_b}+\dot{Z_b}\dot{Z_c}+\dot{Z_c}\dot{Z_a}}{\dot{Z_c}}
\\\dot{Z_{bc}} &=& \frac{\dot{Z_a}\dot{Z_b}+\dot{Z_b}\dot{Z_c}+\dot{Z_c}\dot{Z_a}}{\dot{Z_a}}
\\\dot{Z_{ca}} &=& \frac{\dot{Z_a}\dot{Z_b}+\dot{Z_b}\dot{Z_c}+\dot{Z_c}\dot{Z_a}}{\dot{Z_b}}
\end{eqnarray}\]

有効電力

\[P=RI^2\]

超基本式ですが,かなりの頻度で使います。

有効電力Pは,Iは実行値,Rは抵抗分を使うということをハッキリさせておきましょう。

類似問題へ

現在工事中。

覚えておくと良いこと

Δ-Y変換インピーダンスが小さくなるはず!

Y-Δ変換インピーダンスが大きくなるはず!

ということを覚えておけば多少記憶間違いによるミスを減らせます。

筆者の考え

不平衡三相負荷の問題です。

冒頭でカッコ書きした「Δ-Y変換をしない理由」を説明します。

結論から言うと,1相ごとの閉回路が成り立たなくなるからです。

逆に言うと,Δ結線では1相ごとに閉回路が成り立つため,相電流を計算することができました。

ではなぜ,Y結線では成り立たなくなるのか?

それは「負荷側中性点電位=電源側中性点電位」ではなくなるからです。

what are you talking about? という方のために下の図をご覧下さい。

図2 平衡三相負荷の場合

図2 平衡三相負荷の場合

図2は平衡三相負荷の場合です。

いつもの平衡三相負荷であれば電源側と負荷側の中性点電位が等しくなります。

つまり図2のように中性点を繋げても良いということですね!

こうすれば1相ごとに閉回路が成立するので,(4)でやったようにいくらでも計算をして良いことがわかります。

我々は知らないうちに頭の中でこういう操作をしていたのです。

では,不平衡三相負荷ではどうなるでしょう。

図3 不平衡三相負荷の場合

図3 不平衡三相負荷の場合

図2の時と抵抗値が変わっています。

(青字の電流値は,実際にこの回路で流れる電流値とは異なるのでご注意ください。)

この場合,負荷のY結線の中性点では必ず電流のアンバランスが生じます

当然ですよね。電圧は三相同じで,インピーダンスが各相異なれば,電流は同じになるはずがありません。

試しに各相毎切り分けて電流値を求めると

\[I_a=1[A],I_b=10[A],I_c=5[A]\]

となり

中性点N’で\(\dot{I_a}+\dot{I_b}+\dot{I_c}=0\)とはならず,キルヒホッフの法則が成立しないことは明白です。

ということは\(I_a=1[A]\),\(I_b=10[A]\),\(I_c=5[A]\)は間違っていることがわかります。

つまり(1)でY結線にして\(I_b\)を同様に求めると不正解ということになりますね。

これが最初にΔ-Y変換をしなかった理由です。

 

どうしてもY結線で求めたい方は点Nと点N’の電位差を\(E_0\)と置いて計算すれば求められます。(※求めたい方はこちら)

ただ,覚えることは最小限にしておいた方が良いのでオススメしません。

素直にΔのまま計算してしまった方が早いと思われますので,今回のような解法としました。

おわりに

解説は以上です。

途中計算で数字の有効桁が不揃いで気持ち悪いと思う方がいらっしゃると推察しますが

個人的に途中計算ではなるべく分数のものは分数,小数になるものは

キリのいいところまで使いたいので,実際に私が書くようにそのまま書いています。

また,図に関しても手書きの見苦しいものになってしまい申し訳ありません。

時間を見つけて綺麗な図に差し替えますので,とりあえずはこのままでお願いします。

毎度同じことを書きますが,解説が欲しい問題,ご不明点などございましたら

コメントやツイッター等にてご連絡頂ければお答えいたしますので,どうぞご遠慮なく。

それでは。

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