【電験1種】H21 理論 問1 『電磁気の計算問題』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
h21理論q1

2本の平行往復電流が作り出す磁束と
その自己インダクタンスを計算していく問題です。

【難易度 : ★★☆☆☆

下記リンクより一般社団法人 電気技術者試験センターが公開している試験問題を見ながらご覧下さい。

試験問題へ

問題解答

(1)解答 : ホ

中心軸からr離れたところに現れる磁界の強さHは,アンペア周回積分より

\[\begin{eqnarray} \oint_c \mathbf{H} \cdot d\mathbf{l} &=& I \\ H \cdot 2πr &=& I \\∴ H &=& \frac{I}{2πr} \end{eqnarray}\]

したがって解答は(ホ)となる。

(2)解答 : イ

題意より幅dr,長さlの面積ldrを貫くdφが知りたいので,磁界の強さH→磁束密度B→磁束dφの手順で求める。

磁束密度をBとおくと,真空の透磁率は\(\mu_0\)であるから

\[\begin{eqnarray} B &=& \mu H\\ B &=& \mu_0 \cdot \frac{I}{2πr} \end{eqnarray}\]

題意より,磁束dφ,面積S=ldrであるから

\[\begin{eqnarray} dφ &=& BS \\ &=& \mu_0 \cdot \frac{I}{2πr}\cdot ldr \\∴ dφ &=& \frac{\mu_0I}{2πr}ldr \end{eqnarray}\]

したがって解答は(イ)となる。

(3)解答 : ヲ

図をよく見て慎重に。

題意より2本の導体間距離を求めればよいので(導体1の内側〜導体2の内側までを積分するイメージ)

導体1の中心を0とおけば a(導体1の内側)〜d-a(導体2の内側)までであることがわかる。

したがって解答は(ヲ)となる。

(4)解答 : ロ

文中にある通り,外部磁束Φはdφをrについてaからd-aまで積分したものであるから

\[\begin{eqnarray} Φ &=& \int_{a}^{d-a}\frac{\mu_0I}{2πr}ldr \\ &=& \frac{\mu_0lI}{2π} \int_{a}^{d-a}\frac{1}{r}dr \\ &=& \frac{\mu_0lI}{2π} \left[log_e|r| \right]_{a}^{d-a} \\ &=& \frac{\mu_0lI}{2π} \left\{log_e(d-a)-log_ea \right\} \\ &=& \frac{\mu_0lI}{2π} log_e\frac{d-a}{a} \\∴ Φ&≒& \frac{\mu_0lI}{2π} log_e\frac{d}{a} (∵ a ≪ d)\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ロ)となる。

(5)解答 : ニ

自己インダクタンスが知りたいので,磁束Φ→自己インダクタンスLという手順で求める。

文中にある通り,導線2本分の磁束は(4)で求めた磁束Φを2倍にしたものなので

\[\begin{eqnarray}LI&=&NΦ\\L&=&\frac{2NΦ}{I}\end{eqnarray}\]

鎖交する磁束数Nは1,電流IはIであるから(※さっきすでに導体2本分を考慮してあるのでNは1です。電流も同様に往復分で2じゃね?と思いがちですが,あくまで電流値はIなのでIとなります。)

\[\begin{eqnarray}L&=&\frac{2\cdot 1 \cdot Φ}{I}\\&=&\frac{2}{I}\cdot\frac{\mu_0lI}{2π} log_e\frac{d}{a}\\∴ L&=&\frac{\mu_0l}{π} log_e\frac{d}{a}\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ニ)となる。

暗記必須の公式たち

アンペア周回積分

\[\begin{eqnarray} \oint_c \mathbf{H} \cdot d\mathbf{l} &=& nI \\ H \cdot 2πr &=& nI \end{eqnarray}\]

\(\begin{eqnarray} \oint_c d\mathbf{l}\end{eqnarray}\) : 電流が通る経路cの長さ
H : 磁界の強さ[A/m]
n : 電流の数
I : 電流[A]
r : 円周の半径[m]

正直,2行目の形しか使わないから2行目だけ覚えておけば良いかもしれません。

ちなみに今回は電流1個だけなのでn=1として計算しました。

磁束密度Bと磁界の強さH

\[\begin{eqnarray} B &=& \mu H \end{eqnarray}\]

ただし,\(\mu=\mu_0\mu_r\)

B : 磁束密度[T]
H : 磁界の強さ[A/m]
\(\mu_0\) : 真空の透磁率[H/m]
\(\mu_r\) : 比透磁率[H/m]

自己インダクタンスLと磁束Φ

\[\begin{eqnarray}LI&=&NΦ\end{eqnarray}\]

L : 自己インダクタンス[H]
I : 電流[A]
N : 磁束鎖交数
Φ : 磁束[Wb]

類似問題へ

現在工事中。

覚えておくと良いこと

\[\begin{eqnarray}H \cdot 2πr &=& nI \end{eqnarray}\]

問題の形を見たときにこの式が頭に思い浮かべば相当早く解けます。

筆者の考え

電磁気の問題です。

この問題は与えられている値から「暗記必須の公式たち」が思い出せるかがポイントです。

思い出せればあとは問題が誘導してくれているので難しいことはないです。

また今回はアンペア周回積分を使って解きました。

電流Iから電界の強さHを求める手段として,もう一つ「ビオ・サバールの法則」があります。

どちらでも解けますが,より簡単で速いという理由でアンペア周回積分にしました。

ちなみに両者は下記のような特徴があります。

アンペア周回積分 : 解くの簡単,直線導体にしか適用できない

ビオ・サバールの法則 : 解くの難しい,全部に適用できる

ただしビオ・サバールの法則は時間がかかりすぎますし,必要な問題もほぼ出ないので余裕があれば覚えた方がいいかな程度です。

おわりに

解説は以上です。

こんな形式で今後も続けていこうと思っております。

ただし,みなさんの不明点全てを網羅することはできないので,もしわからない箇所がある場合は

コメントやツイッター等にてご連絡頂ければお答えいたします。

それでは。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Twitter : @madaidayo2

instagram : madaidayo_a.s

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントを残す

*

メニュー