【電験1種】H21 理論 問3 『交流RC回路の過渡応答』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
h21理論q3

交流RC回路の過渡応答について計算していく問題です。

選択肢(ゴール)に合わせて式変形をしていくのがポイントです。

【難易度 : ★★★★☆

下記リンクより一般社団法人 電気技術者試験センターが公開している試験問題を見ながらご覧下さい。

試験問題へ

問題解答

(1)解答 : へ

まずは回路方程式を考えます。

【左辺】

左辺には電源電圧を記載します。

電源電圧は文中にある通り,\(E_me^{j\omega t}\)であり,問題に合わせて単位ステップ関数\(u(t)\)を掛けてあげましょう。

【右辺】

右辺には負荷による電圧降下を記載します。

Rによる電圧降下は

\[Ri^*(t)\]

Cによる電圧降下は

\[\frac{1}{C}\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’\]

です。(問題で「t」ではなく「t’」を使っている意図がわからないので判明次第更新します。)

このCの電圧降下 \(\frac{1}{C}\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’\) は記してしまった方が早いです。

一応導出は下記の通りです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

コンデンサCの電圧降下を\(V_c(t)\),蓄えられる電荷を\(q(t)\)とすると

電流と電荷の関係は次の式で与えられます。

\[i(t)=\frac{dq(t)}{dt}\]

これは時間dtのあいだに電荷dqが流れると電流iとなるということを示しています。

(t)は時間の関数という意味です。

続いて,上式の両辺をtで積分します。

\[\begin{eqnarray} i(t)&=&\frac{dq(t)}{dt}
\\\int i(t)dt&=& \int \frac{dq(t)}{dt}dt
\\\int i(t)dt&=& \int dq(t)
\\\int i(t)dt&=& q(t)
\end{eqnarray}\]

このq(t)をコンデンサの式\(Q=CV\)に代入し

\[\begin{eqnarray} q(t)&=& CV_c(t)
\\\int i(t)dt&=& CV_c(t)
\\∴V_c(t)&=& \frac{1}{C}\int i(t)dt
\end{eqnarray}\]

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

本題に戻ります。回路方程式は先ほどの左辺=右辺より下記となる。

\[\begin{eqnarray} ∴E_me^{j\omega t}\cdot{u(t)}=Ri^*(t)+\frac{1}{C}\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(へ)となる。

(2)解答 : ヲ

単位ステップ関数 \(u(t)=1\) であるため,(1)式は次のようになる。

\[\begin{eqnarray} E_me^{j\omega t}=Ri^*(t)+\frac{1}{C}\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’
\end{eqnarray}\]

この式についてラプラス変換します。

\[\begin{eqnarray}
E_me^{j\omega t} &=& Ri^*(t)+\frac{1}{C}\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’
\\\mathcal{L}[E_me^{j\omega t}] &=& \mathcal{L}[Ri^*(t)]+\mathcal{L}[\frac{1}{C}\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’]
\\E_m\mathcal{L}[e^{j\omega t}] &=& R\mathcal{L}[i^*(t)]+\frac{1}{C}\mathcal{L}[\int_{0}^{t}i^*(t’)dt’]
\\E_m \cdot{\frac{1}{s-j\omega}} &=& RI^*(s)+\frac{1}{C}\cdot{\frac{1}{s}}\{I^*(s)+q(0)\}
\end{eqnarray}\]

“Cの初期電荷を0″とあるので\(q(0)=0\)とおくと

\[\begin{eqnarray}
E_m \cdot{\frac{1}{s-j\omega}} &=& RI^*(s)+\frac{1}{C}\cdot{\frac{I^*(s)}{s}}
\\E_m \cdot{\frac{1}{s-j\omega}} &=& I^*(s)\{R +\frac{1}{C}\cdot{\frac{1}{s}}\}
\\I^*(s) &=& E_m \cdot{\frac{1}{s-j\omega}} \cdot\frac{1}{R +\frac{1}{C}\cdot{\frac{1}{s}}}
\\ &=& E_m \cdot{\frac{1}{s-j\omega}} \cdot\frac{1}{\frac{R}{s}(s +\frac{1}{RC})}
\\∴I^*(s) &=& \frac{E_m}{R}\cdot\frac{s}{(s-j\omega)(s+\frac{1}{RC})}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ヲ)となる。

(3)解答 : ハ

各値を代入する。

\[\begin{eqnarray} I^*(s) &=& \frac{E_m}{R}\cdot\frac{s}{(s-j\omega)(s+\frac{1}{RC})}
\\ &=& \frac{100}{100}\cdot\frac{s}{(s-j10)(s+\frac{1}{100×0.001})}
\\ &=& \frac{s}{(s-j10)(s+10)}
\end{eqnarray}\]
これについて部分分数分解すると
\[\begin{eqnarray} I^*(s) &=& \frac{A}{s-j10}+\frac{B}{s+10} ・・・①
\\ &=& \frac{A(s+10)+B(s-j10)}{(s-j10)(s+10)}
\\ &=& \frac{s(A+B)+(10A-j10B)}{(s-j10)(s+10)}
\end{eqnarray}\]分子を比較すると,\(A+B=1,10A-j10B=0\)とおけるので,それぞれ解くと\[\begin{eqnarray} B &=& 1-A
\end{eqnarray}\]

\(B=1-A\)を\(10A-j10B=0\)に代入し

\[\begin{eqnarray} 10A-j10(1-A) &=& 10A-j10+j10A
\\A &=& \frac{-j10}{10+j10}
\\ &=& \frac{-j}{1+j}
\\∴A &=& \frac{1}{1-j}
\end{eqnarray}\]

\(A=\frac{1}{1-j}\)を\(B=1-A\)に代入し
\[\begin{eqnarray} B &=& 1-\frac{1}{1-j}
\\ &=& \frac{-j}{1-j}
\\∴B &=& \frac{1}{1+j}
\end{eqnarray}\]

求めたA,Bを①式に代入すると

\[\begin{eqnarray} ∴I^*(s) &=& \frac{1}{1-j}\cdot\frac{1}{s-j10}+\frac{1}{1+j}\cdot\frac{1}{s+10}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ハ)となる。

(4)解答 : リ

(3)にて求めた式を逆ラプラス変換する。

\[\begin{eqnarray} \mathcal{L^{-1}}[I^*(s)] &=& \frac{1}{1-j}\cdot\mathcal{L^{-1}}\biggl[\frac{1}{s-j10}\biggr]+\frac{1}{1+j}\cdot\mathcal{L^{-1}}\biggl[\frac{1}{s+10}\biggr]
\\i^*(t) &=& \frac{1}{1-j}e^{j10t}+\frac{1}{1+j}e^{-10t}
\end{eqnarray}\]ここに単位ステップ関数\(u(t)\)を掛けると\[\begin{eqnarray}
\\∴i^*(t) &=& \frac{1}{1-j}e^{j10t}\cdot{u(t)}+\frac{1}{1+j}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(リ)となる。

(5)解答 : ヨ

題意より実数部を求めることが要求されているので

(4)にて求めた式について式変形を行い,実数部+j虚数部の形にする。

\[\begin{eqnarray}
i^*(t) &=& \frac{1+j}{(1-j)(1+j)}e^{j10t}\cdot{u(t)}+\frac{1-j}{(1+j)(1-j)}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\\ &=& \frac{1+j}{2}e^{j10t}\cdot{u(t)}+\frac{1-j}{2}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\end{eqnarray}\]
オイラーの公式を適用し
\[\begin{eqnarray}
i^*(t) &=& \frac{1+j}{2}\bigl\{cos(10t)+jsin(10t)\bigr\}\cdot{u(t)}+\frac{1-j}{2}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\\ &=& \frac{1+j}{2}cos(10t)\cdot{u(t)}+j\frac{1+j}{2}sin(10t)\cdot{u(t)}+\frac{1-j}{2}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\end{eqnarray}\]ここで虚数となるものは計算する必要がないので,実数のみ計算すると\[\begin{eqnarray}
i^*(t) &=& \frac{1}{2}\cdot{u(t)}\bigl\{cos(10t)-sin(10t)+e^{-10t}\bigr\}
\\ &=& \frac{1}{2}\cdot{u(t)}\bigl\{cos(10t)+cos(\frac{\pi}{2}+10t)+e^{-10t}\bigr\}
\\ &=& \frac{1}{2}\cdot{u(t)}\bigl\{2cos\frac{(10t)+(\frac{\pi}{2}+10t)}{2}cos\frac{(10t)-(\frac{\pi}{2}+10t)}{2}+e^{-10t}\bigr\}
\\ &=& \frac{1}{2}\cdot{u(t)}\bigl\{2cos\frac{(10t)+(\frac{\pi}{2}+10t)}{2}cos\frac{(10t)-(\frac{\pi}{2}+10t)}{2}+e^{-10t}\bigr\}
\\ &=& \frac{1}{2}\cdot{u(t)}\bigl\{2cos(10t+\frac{\pi}{4})\cdot cos(-\frac{\pi}{4})\bigr\}+\frac{1}{2}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\\ &=& \frac{1}{\sqrt2}cos\bigl(10t+\frac{\pi}{4}\bigr)\cdot{u(t)}+\frac{1}{2}e^{-10t}\cdot{u(t)}
\end{eqnarray}\]

したがって解答は(ヨ)となる。

暗記必須の公式たち

ラプラス変換

私が暗記しておいたものをご紹介します。

\(f(t)\) \(F(s)\)
\(1\) \(\frac{1}{s}\)
\(t\) \(\frac{1}{s^2}\)
\(t^2\) \(\frac{2}{s^3}\)
\(e^{at}\) \(\frac{1}{s-a}\)
\(sin at\) \(\frac{a}{s^2+a^2}\)
\(cos at\) \(\frac{s}{s^2+a^2}\)
\(\frac{di(t)}{dt}\) \(sI(s)-i(0)\)
\(\int i(t)dt\) \(\frac{I(s)}{s}+\frac{q(0)}{s}\)
\(\delta (t)\) :デルタ関数 \(1\)
\(u(t)\) :ステップ関数 \(\frac{1}{s}\)
\(r(t)\) :ランプ関数 \(\frac{1}{s^2}\)

オイラーの公式

\[\begin{eqnarray}
e^{j\theta} &=& cos\theta+jsin\theta
\end{eqnarray}\]

三角関数変換

sin,cosの変換です。

暗記する必要はありませんが,試験時に自分で円を描くなどして確かめられるようにしておくべきものです。

\[\begin{eqnarray}
cos(\frac{\pi}{2}-\theta) &=& sin\theta
\\sin(\frac{\pi}{2}-\theta) &=& cos\theta
\\cos(\frac{\pi}{2}+\theta) &=& -sin\theta
\\sin(\frac{\pi}{2}+\theta) &=& cos\theta
\end{eqnarray}\]

類似問題へ

現在工事中。

覚えておくと良いこと

部分分数分解

公式ではありませんが,過渡応答の問題では使う頻度が極めて高いため覚えておく必要があります。

部分分数分解をする目的は「逆ラプラス変換できる形に式変形すること」です。

色々方法がありますが,私がいつも使う係数比較の方法をご紹介します。

\[\begin{eqnarray}
I(s) &=& \frac{s+3}{(s-5)(s+2)}
\end{eqnarray}\]

という式があるとき

\[\begin{eqnarray}
\frac{s+3}{(s-5)(s+2)} &=& \frac{A}{s-5}+\frac{B}{s+2} ・・・②
\end{eqnarray}\]

という形に分解できる。

②式両辺の分母を払うと

\[\begin{eqnarray}
\frac{s+3}{(s-5)(s+2)} &=& \frac{A(s+2)+B(s-5)}{(s-5)(s+2)}
\\s+3 &=& A(s+2)+B(s-5)
\\s+3 &=& s(A+B)+(2A-5B) ・・・③
\end{eqnarray}\]

③式の係数を比較すると

\[\begin{eqnarray}
1 &=& A+B ・・・④
\\3 &=& 2A-5B ・・・⑤
\end{eqnarray}\]

が得られる。あとは④,⑤式よりA,Bを求めればokです。

④式より
\[\begin{eqnarray}
A &=& 1-B ・・・⑥
\end{eqnarray}\]

⑥式を⑤式へ代入
\[\begin{eqnarray}
3 &=& 2(1-B)-5B
\\3 &=& 2-2B-5B
\\B &=& -\frac{1}{7} ・・・⑦
\end{eqnarray}\]

⑦式を⑥式へ代入し
\[\begin{eqnarray}
A &=& 1-\biggl(-\frac{1}{7}\biggr)
\\A &=& \frac{8}{7}
\end{eqnarray}\]

したがって,

\[\begin{eqnarray}
∴I(s) &=& \frac{8}{7(s-5)}-\frac{1}{7(s+2)}
\end{eqnarray}\]

このような形に式変形できれば逆ラプラス変換できることは自明です。

三角関数 和積公式

\[\begin{eqnarray}
cosx + cosy &=& 2cos\frac{x+y}{2}cos\frac{x-y}{2}
\end{eqnarray}\]

筆者の考え

今回は過渡応答の問題でした。

過渡応答は必ずと言っていいほど出題されるので,様々なパターンで学習しておくべきです。

・直流電源のRL,RC回路

・交流電源のRL,RC回路

最低限この4つはさらっておきましょう。

また,今回は三角関数変換に和積公式を用いました。

三角関数変換は他にも加法定理,倍角,半角の公式がありますが

これら全てを暗記するのは結構厳しいです。(私も全ては覚えていません。)

しかし,倍角,半角,和積公式は全て加法定理を元に導出することが可能であり

中でも倍角,半角の公式は20秒くらいで導出できます。

したがって,その導出を練習しておけば,暗記するのは加法定理,和積公式に絞れます。

※和積,積和公式は導出に時間がかかる+暗記が難しい+使用頻度が低いので余力があれば覚える程度が良いと思われます。

おわりに

解説は以上です。

この類の問題は問題と選択肢をよく見比べながら進めるのがコツです。

解説が欲しい問題,ご不明点などございましたら

コメントやツイッター等にてご連絡頂ければお答えいたしますので,どうぞご遠慮なく。

それでは。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Twitter : @madaidayo2

instagram : madaidayo_a.s

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

メニュー